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HP吸収ではないペット → バンブー戦士 ラッシュではないペット → 鬼面霊媒師 鬼面キッド ラッシュ ウインドウルフ タックル 鬼面戦士 ラッシュ 鬼面霊媒師 聖なる審判 蛮力ボア ラッシュ ゴールドツリー HP吸収 マンドラ HP吸収 竹取爺さん HP吸収 霊樹守衛 HP吸収 バンブー戦士 MP吸収 空賊雑兵 聖なる浄化 風の精 かまいたち 平原の旋風者 ノコギリ刃 水の精 水鉄砲 歌の精 風の祝福 さまよえる蝶 ラッシュ 砂トカゲ 野獣の爪 溶岩巨人 忠義の守り
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(…なんでこんな事になっとるんだ?) 威厳のカケラもなくクダを巻く酔っ払いに、何故か付いて来ている男子生徒が一人。 しかし問題なのはここが確か俺の部屋だ、という事だ。 「先輩、飲み過ぎは身体に毒っすよ。ほら、生徒の手前もあるでしょう?なあ、岩堀くん」 「俺は別に…どうでもいいっすけど」 やれやれ。この子もなんでまた付いて来て…っと、理由は聞いたんだった。 ”――――本気の出し方、忘れちまうぞ?” 俺のあの発言が彼に与えた影響というのは、まあそれなりに中々のものだったらしい。 副部長の…何て言ったか、髪の長い子。あの子とメル友になったキリノから事情は粗方聞いた。 それはそれで教師冥利に尽きること、なのだが。 (がしかし…問題なのは…) 「コジロー俺、本気の出し方忘れちまったよぉ~」 ……その意味を問うた相手が悪かった、という事だろうか。ああしかしこの先輩はどこまで。 ともかく分からないなら本人に聞きにいこう、という事で師弟揃って俺の部屋を叩いた、までは良かったんだが。 しかし俺にだって自分の経験を教えようにも限界と言うものがある。 「…まあ、朝陽を見る事っす…よ?」 「なんだそりゃ、おいもうちょっと真面目にヒントをくれよ!」 「何スか?朝陽って」 ……だって本当の事なんだもん。 そうこうしてる内に先輩の酒は進み―――――今に至るのだが。 「ヒック…しかし、いいよなあお前らは…」 「はあ…?」 ”お前ら”って、俺と岩堀くんの事か?共通点なんか、あったっけ? 「ちゃんと応援してくれる子がいてさ…オイ、岩堀」 「なんスか?」 「近本とは、どこまでいっとるんだ」 ぶほあっ。思わず水を吹きそうになる。生徒相手にこの先輩は… ん……しかし、その話の内容で、俺? 「……なんであいつと俺が」 まったくだ。いやまてまて。なんか勝手に決められて話が動いているぞ。 「…お前は!まだそんな事言っとるのか!?バカヤロォォォ!!」 だから先輩、窓開けて叫ぶのはやめてくださいっす。近所迷惑っすよ。 「はぁはぁ…んじゃあコジロー、お前の方はどうなんだよ?」 「どう、って言われてもっすね…」 俺、そんな奴いたっけか?…いやいや、いねーぞそんなもん。 まったく思い当たるフシがない。 「俺は…原田に聞いて知ってんだぞ…世話焼いて貰ったり、色々してるそうじゃあないか」 「世話…?」 世話焼き。ああ、その単語からなら。 金髪のしっぽを揺らしながら微笑む誰かの姿が浮か・ばない・ことも・ない、が… (待て待て待て待て待て!違うだろう俺!?) 「…お、今一瞬固まったな!?さてはマジなのかお前?」 「マジっすかこ…コジロー先生?」 「ちょ、ちょっと待って下さいよ!いや違いますって!」 流石にそれはない…が、「ない」って言い切るのもこの場合少し違う… くそ、どうすりゃいいんだ。テレビでもつけて矛先をぶらすか。ピッ。 ”濃厚圧縮!新食感アイス・コアミルク!新発売!” 「む!…かわいいなぁ」 …先輩、そのデレ顔は無いっすわ。 しかし、どうやら追求は収まったらしい。よかったよかった。 ――――って、コアミルクの子ってこんな普通の顔だったっけ?あれ? ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 同日同時刻。惣菜ちば2F。 (…けっこう、カッコよかった…と。) 日記を書き終え、キリノの筆が止まる。 「いやー、あたしも何書いちゃってんだかねえ…」 気が付けば、日記の分量は物凄い事になっていた。 少し適当なところで区切らねば、一生終わらないのではないか、と思うほどに。 内容は試合の感想、と言うよりも最早、主観を書き散らかしただけのような体にしかなっていない。 「さすがにこれは誰にも見せらんないなー…」 そう言ってノートを大事に引き出しにしまうと、ベッドの中へ。 (おやすみ、センセー)
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シャムロック過去見リスト プロローグ? 1年1月1週-1年1月2週-1年1月3週-1年1月4週 1年2月1週-1年2月2週-1年2月3週-1年2月4週 1年3月1週?-1年3月2週-1年3月3週-1年3月4週 1年4月1週-1年4月2週-1年4月3週-1年4月4週 1年5月1週-1年5月2週-1年5月3週-1年5月4週 1年6月1週?-1年6月2週-1年6月3週-1年6月4週 1年1月4週 イベント名 登場人物 投入アイテム 備考(カンソウなどもっ!) オズモンドの夜ごはん オズモンド、テトラ、エルダー ハニビーン へっぽこすっぽこインケン導師のテント補修をお手伝いしてダイナミックな夕食を・・・ バンブー、ブローディアに弔問 バンブー、執事 マッシュルーム トリテレイアの弔問に置忘草をお供えにきました。 お風呂だぜ全員集合・オーキッド オーキッド、ジニア,カモミール マッシュルーム 最近お風呂が大好きなオーキッドくんです^^お風呂誘われたジニアはまたしても断るのです・・・ エルダー、オズモンドにこき使われる・溝堀 エルダー、オズモンド カブトムシ エルダーが溝を掘る話でした ターメリック、詩集を発見する ターメリック ハニビーン バンブーがトリテレイアの廟の前でミュゲ男王の宰相が書いた詩集を発見。コレに王家の悪業が?!と後の陰謀に発展するきっかけだったんですね~ 他のイベント発見の際はお知らせ下さいませ♪ 名前 コメント すべてのコメントを見る
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発売日 2010年5月28日 ブランド カウパー タグ 2010年5月ゲーム 2010年ゲーム カウパー キャスト 橘みもざ(野本カナン),片倉ひな(坂口雪乃) スタッフ 企画・原案:カウパー シナリオ:明智幸定 キャラクタデザイン・原画:珈琲猫 グラフィック:村政竜之輔,路,Aoi 背景原画:葦辺亨 背景着色:スタジオクローバー プログラム:W.Dee 効果音:有限会社バンブー BGM制作:有限会社バンブー 音声制作:AG-promotion 音声ディレクター:久瀬義美 スクリプト:囲智之 デバッグ:カウパー SPECIAL THANKS:江森美沙樹 プロデュース:村上ともう 著作:カウパー/有限会社シルバーバレット
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「・・・あ」 「ん? どうしたのタマちゃん?」 「ジャージ置いてきちゃった・・・ごめん、ちょっと取ってくるね」 「うん」 いつものようにユージくんと帰ろうとしたところで、道場の更衣室に忘れ物をしてきたことに気付いたあたしは急いで取って返した。 鍵は・・・まだかかってない。よかった。 すぐにジャージを見つけ、道場を後にしようとしたら。 道場の裏手から、人の話し声が聞こえた。 なんだろう、ひょっとして泥棒? そちらへと近づくと。 「やべ、誰か来た!」 「マジで!?」 焦ったような声が聞こえて、続いて走り去っていく足音。 誰だったんだろうと思いつつそちらを覗き込むと、やっぱり誰もいなかった。 あたしが近づいてきたのに気付いて、すぐにどこかへ行ってしまったらしい。 本当になんだったんだろう。こんなところでなにを・・・と考えたところで、地面の上になにかが落ちているのに気付いた。 ・・・本? 近づいて見てみると、それは漫画雑誌だった。さっきの人たちが慌てて置いて行ったんだろう。ページが開いたままだ。 身体を屈めて、ちょっとだけ覗いてみる。 ・・・うわ。 開かれたそのページに描かれていたのは、いわゆるその・・・まぐわっている男女の姿だった。 局部に修正こそ入ってるものの、これはつまり・・・えっち本というもの、だろうか。 一気に頭に血が上ってしまい、あたしは目を背けようとした・・・のだけれど。 その寸前で目に入ってきた、描かれている男女のうちの男の人の方の姿(もちろん下にはなにも身に付けてない)に、思わず動きを止めてしまっていた。 ・・・なんだか、ユージくんに似てる、ような。 いやいや、そんなことはないと自分に言い聞かせて首を強く振る。 でも、一度意識するともう止まらなかった。そして目も離せなくなってしまった。 改めて、そこに描かれている男女の痴態を見てみる。 女の人の方は、なんだかアニメにでも出てきそうな奇抜な髪形をしているけれど、男の人の方は割と地味な顔立ちだった。 ・・・益々、ユージくんに似ている。 といっても、あたしはユージくんがこんなふうに息を荒らげて、しかも顔を紅潮させてなにかに耐えているような表情なんて見たことがない。 ・・・頭の中に、ユージくんの顔が浮かんだ。しかもその顔は、見慣れた笑顔じゃなくて・・・目の前のページの中の男の人と、同じ表情だった。 その瞬間、ずん、と身体のどこかに衝撃が走ったような気がした。 どこなのかはよくわからなかったけれど。頭のような気もするし、下腹部だったような気もする。 あたしは吸い込まれるような気分で、その雑誌に手を伸ばしていた。ページをめくってみる。 『○○ちゃん!』 『○○くん!』 男女がお互いの名を呼びながら、さっきのページよりも更に激しく体をぶつけ合っていた。あたしは更にページをめくる。 ・・・が、そこで終わっていた。どうやら最後のページだったらしい。 あたしはページを逆にめくっていった。さっき見たページも通り越して、この漫画の最初のページに辿り着く。 そうして、最初から通して読んでみると・・・大体のストーリーが理解できた。 どうやら、この男女は幼馴染みらしい。 男の人(というか、少年だけど)の方が女の人に小さい頃からずっと好意を寄せていて、ある時ちょっとしたきっかけからそれを打ち明けてしまう。 そうしたら実は女の人の方も男の人のことが昔から好きで、互いに想いを確認し合った二人がそのまま・・・という内容だ。 ・・・といっても、ページ数としては明らかに二人が体を重ねているシーンの方が多いんだけども。えっちな漫画って、こういうものなんだろうか。 読んでいるうちに、あたしは自分の中になにか得体の知れないものが広がっていくのを感じていた。 ・・・幼馴染みの、男女。しかも男の人の方は、なんかユージくんに似てる。 知らず、あたしはページの中の男女を自分とユージくんに置き換えていた。 ・・・ない、と思う。 あたしとユージくんがこんなことになるなんて、ない。幼馴染みって、そういうものじゃないはず。 でも・・・もう一度、さっきのユージくんの顔が頭に浮かんだ。荒い息をついて、切なげな表情であたしの名前を呼ぶユージくん。 ・・・またしても、衝撃というか電流というか、そんなようなものが走った。脳天から下腹部にかけて。 堪えきれなくなって、あたしはページを閉じて立ち上がった。 なんだか、体が無性に熱い。特に・・・その、下半身の方が。あと、あまり大きいとは言えない胸の先端辺りも。 顔も真赤になっているかもしれない。心臓もうるさかった。頭までぼーっとしている。 あたし、変だ。 じっとしていられず、そしてもちろん猛烈な恥ずかしさもあって、あたしはその場から駆け出していた。急いで自転車置き場に戻る。 「あ、タマちゃん遅かったね。ジャージ見つかった?」 「ううう、う、うん」 まったくもっていつも通りの(当たり前だけど)表情で聞いてきたユージくんに、あたしは思いっきりどもってしまった。 ・・・どうしよう。ユージくんの顔をまともに見られない。 「・・・? タマちゃん、どうしたの? なんか顔が赤いよ?」 「は、走って戻ってきたから・・・じゃないかな」 「息もなんか荒いし・・・」 「そ、それも、走ってきたから・・・だと、思う」 「動きもぎくしゃくしてるし」 「き、気のせいだよ」 ユージくんの指摘を必死で誤魔化しつつも、しかしあたしの体調は悪化する一方だった。 ・・・というより、ユージくんの声を聞いているせいかもしれない。 体が熱い。頭に靄がかかったみたいに、ぼーっとしてしまう。 「・・・タマちゃん、ちょっとごめん」 「え?」 ユージくんがあたしの頭に手を伸ばした。 ・・・体の熱さが、一気に限界に達した。 「うわ! タマちゃん、顔真っ赤だよ!? 大丈夫!?」 「だ・・・」 大丈夫、と言おうとしたけれど、できなかった。脚から力が抜けていく。 倒れそうになったあたしの体を、ユージくんがすぐに受け止めた。 ・・・さっきまで感じていたのとは段違いに強烈な衝撃が、全身に走った。びくん、と体が震える。 「た、タマちゃん!? なんか、ホントにおかしいよ!? どうしたの!?」 「わ・・・わかんない・・・」 辛うじてそれだけを言うことができた。 ・・・ユージくんに触れられている箇所が、ものすごく熱くなっている。 全身が、剣道の試合の時とは比べ物にならないほど敏感になっていた。 でも、それ以上に熱くなっているのは・・・胸の先と、下腹部の方。 そして頭の中には、やっぱりさっき思い浮かべたユージくんの顔が張り付いていた。 「ゆ・・・ユージくん・・・」 異様に熱気を帯びた吐息と共に、ユージくんの名前を呼ぶ。 ・・・さっき見た漫画の中で、女の人が男の人に対してそうしていたように。 「タマちゃん、ちょっとごめん」 ・・・けれどユージくんは、漫画の中の男の人と同じ反応をしたりはしなかった。当たり前だけれど。 いわゆるお姫様抱っこの形であたしの体を持ち上げ、そのまま校舎の方に向かって歩き出す。 「まだ開いてるはずだから、保健室行こうタマちゃん。それまで我慢してね?」 「う、うん・・・」 なんとか頷いたけれど、やっぱりユージくんに触れられている部分が熱いままだった。ひょっとしたらじっとりと汗ばんでいるかもしれない。 胸の先は既に下着と擦れて痛いくらいにまでなってるし、下半身に至ってはなんだか妙な感触までしてわけがわからない。 あたしの体・・・一体どうしちゃったんだろう。 あたしが自分の体の異変の正体を知ったのは、保健室で先生に話を聞いてからのことだった。 ちなみにその間、ユージくんは先生に言われて保健室を出ていたので、羞恥で真っ赤になったあたしの顔を見られずに済んだ。 ・・・先生から替えの下着を借りてから帰ったけれど、やっぱりあたしはユージくんの顔を直視できなかった。 とりあえず、明日からどうやってユージくんと接すればいいんだろうか。
https://w.atwiki.jp/bamboo-blade/pages/6.html
アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/25_171_ja.html たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL
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悔しい悔しいくやしいクヤシイ。 今日の町戸高との練習試合。初めての対外試合。 あたしは、負けた。 チームのお荷物にだけはならないように。ただ、それだけだったのに。 あんなにいっぱい、当たったのに。有効打突にならなかった。 悔しい。 「ミヤミヤ、どうしたんだー?悩み事かー?」 「ダンくん・・・」 練習試合の後、ダンくんの家にお邪魔した。 男の子らしい部屋。そこにあるものひとつひとつにダンくんを感じる。 あたしの全てが、ダンくんに包まれている気分になる。 ダンくんは、あたしが二本とられたスコアを書くとき、どんな気持ちだったんだろう。 「・・・ううん、なんでもない」 精一杯、作り笑い。 この顔をするのも、さすがに慣れた。 「なんでもないって顔してないぞー。俺、なんでも聞くぞ?」 ダンくんまでそんな顔しないで。 いつもの笑顔のダンくんでいて。 ダンくんはこっちにきて、あたしの直前で立ち止まった。 「俺は、ミヤミヤの力になりたい」 そう言うとダンくんはあたしにキスをした。 安心する、ぬくもり。 「ダンくん・・・」 「だって俺はお前の彼氏じゃないか!」 ダンくんのとびっきりの笑顔。 あたしはダンくんを抱き寄せると、膝の上に座らせた。 「ダンくんは、優しいね」 あたしはダンくんをぎゅっと抱きしめた。 「ミヤミヤ・・・」 「今日、あたしだけ負けたでしょ。あたし、チームのお荷物なのかなって。そんなこと考えてた」 「ミヤミヤは、お荷物なんかじゃないよ」 「・・・ううん。今日はタマちゃんが2回出ても許されたけど、次はどうだかわかんない。 相手の不戦勝で二本、こっちに不利になる。あたしが負けるとタマちゃんたちは誰一人として負けは許されなくなる。 少なくとも二人は勝たなきゃいけないし、そうだとしたら二人とも二本勝ちを要求されちゃう」 「・・・」 「みんなにプレッシャー、かけさせちゃう、あたし・・・」 チームにいなくてもいい。 それが今のあたしの立場。 「ミヤミヤは、いなきゃダメなんだ」 「ダンくん・・・?」 「ミヤミヤは室江高剣道部にいて、みんなと一緒に試合にでなきゃだめなんだ」 ダンくんの体が熱くなってくる。 「いつか勝てる日がきっとくる。みんなだってそう信じてるからミヤミヤに熱心に教えてくれてる。ミヤミヤは今自分にできることだけを考えればいいんだと、俺思う」 「・・・そうかな」 「そう!ただ、できる限りのこと、しなきゃだけど。大丈夫、俺がいる。俺もミヤミヤと一緒に、強くなるから」 ダンくんの腕が、あたしを抱きしめた。 あたしの体も、特に顔のあたりが熱くなった。 「これからも、一緒に練習していこう。強くなろう」 「・・・うん」 あたしの目から涙が零れ落ちた。 どれくらい時間が経ったんだろう。 ダンくんの肩は、あたしの涙で湿っている。 ダンくんはずっとあたしの頭をなで、背中をさすってくれていた。 「ん・・・ありがと、ダンくん。もう、大丈夫」 「本当にかー?」 「うん、ダンくんのおかげ」 今度はあたしからダンくんにキスをした。 「・・・だいすき」 改めて言葉にすると、どきどきする。 「多分、俺のほうがもっとずっとミヤミヤのことだいすきだぞ!」 少し赤くなったほっぺた。 目尻の少し下がった、優しい目。 そしてなにより、笑顔。 あたしは、ダンくんが必要なんだ。 あたしは、ダンくんの傍にいたいんだ。 あたしは、ダンくんがだいすきなんだ。 「じゃあ、どれくらいだいすきなのか教えて・・・?」 そうしてあたしはまだ慣れない、大人のキスをした 「んっ・・・ぅん」 自分から大人のキスをしたことは、ほとんどない。 だから、どうすればいいのかなんて、わからない。 恐る恐る舌先を伸ばして、ダンくんの舌と触れ合わせる。絡ませる。 唇で、ダンくんの唇を噛む。 体の力が抜けていく。 頭がぼうっとしてくる。 「っはぁ・・・」 少し疲れて、唇を離す。 自分のものじゃない唾液が纏わりついているのがわかる。 ダンくんと目が合うと、今度はダンくんから、大人のキスをしてきた。 「ん・・・はぁ・・・ん・・・」 ダンくんは、キスが上手なんだと思う。 キスすると、あたしの体が、ダンくんに触れてほしがってくる。 ひとつに、なりたがってくる。 ダンくんの手があたしの髪、顔、首筋、背中、腰、全身を這う。 もう、あまりものを考えられない。 目の前のダンくんしか感じられない。 ダンくんはあたしの舌をちぅっと吸うと、あたしを押し倒した。 「そんなこと言っても、ミヤミヤが可愛すぎて、俺、きっと止まれないよ」 あたしの髪をなでながら、ダンくんは言った。 あたしは体を起こし、軽くキスをした。 「いいよ・・・あたしのだいすきなダンくんだもん」 再び押し倒されると、ダンくんはまた大人のキスをしてきた。 このキスをすると、体にスイッチが入ったみたいになる。 女としてのスイッチ。 あたしは女なんだ、そしてダンくんは男なんだと再確認する。 ダンくんの手が首筋から肩へ、胸へと這い、撫で回す。 その度あたしの体に電気が走ったみたいにぴくっと反応する。 塞がれている唇のせいで、ぐもった声が漏れる。 少しでもダンくんに触れていたくて、あたしは腕をダンくんの首に回した。 ダンくんは唇を離すと、今度は首筋に吸い付いてきた。 ちゅっと、音がする。 熱い。 「っん・・・」 ニットのベストを脱がされ、リボンを解かれる。 ボタンがひとつひとつ丁寧に外され、あらわになった肌にダンくんはくちづけていく。 くちづけの軌跡が熱い。 「ゃぁ・・・ぁ・・・」 全てのボタンが外れ、ブラウスを脱がされた。 あたしは自分だけが肌を露出しているのが少し恥ずかしくて、今度はあたしがダンくんのネクタイをとり、シャツを脱がした。 「っやぁ・・・やっ」 ダンくんが耳を噛んでくる。 聞こえてくる音が、なんだかやらしくて、 くすぐったいような、気持ちいいような、不思議な感覚で、 逃げたくなる。 だけど、ダンくんに触れていたくて、 精一杯、触れていたくて、 あたしはダンくんを抱きしめる腕に力を込めた。 知らない間にダンくんはあたしのブラのホックを外していたみたいだった。 ダンくんは耳を開放すると、ブラをとって、先端をちろちろと舐めはじめた。 ダンくんは力ずくなことをしない。 壊れやすいものを扱うかのように、優しくあたしに触れてくれる。 そうすると、あたしの中の本能がもっと、もっとって叫んで、体中ががうずうずしてくる。 今のあたしにできるのはダンくんに触れることくらいで、あたしは夢中で目の前のダンくんを求めた。 そうしたあたしの変化に気づいたのか、ダンくんは胸をいじるのをやめて再びキスをしてきた。 ダンくん、ダンくん、ダンくん、ダンくん それしか頭にないあたしは、夢中でダンくんの唇を吸った。 ダンくんの手が太ももを這う。 もっと、もっともっと、 ダンくんを感じたい。 ますますあたしの体は熱くなっていった。 ダンくんはあたしのスカートを脱がすと、太ももに口付けてきた。 肝心の部分には手を触れることなく、その周りに執拗に触れてくる。 もう、理性とか、恥ずかしさとか、そういうのはどこかへ行ってしまった。 ダンくんとひとつになりたい。 ダンくんに愛されたい。 ただそれだけの思いで、ダンくんのズボンとパンツを脱がせた。 あたしは恐る恐る準備万端なそれに触れてみたけれど、思わず手を引っ込めてしまった。 おおきい。 一般的にどれくらいなのかわからないけど、あたしにあの大きさのものが入ってくるんだと考えると、少し怖くなった。 ダンくんはあたしの下着を脱がし、また大人のキスをしてきた。 ダンくんは机の中をがさごそすると、あたしに背を向けた。 一瞬何をしているんだろう、と思った。 コンドーム。 急にこんなことになったけれど、ちゃんと持っててくれたんだ。 つけ終えたダンくんは、あたしのだいじなとこに触れてきた。 「あっ・・・やあぁぁ・・・」 あたしのそこはちゃんと濡れていてくれたみたいで、ダンくんの指を容易に受け入れた。 その指で優しくあたしの中を撫で回すと、今度は外の突起をすりあげてきた。 「ひっ・・・ぁん・・・やっ」 何度も何度もダンくんは突起に刺激を与えてくる。 その度にあたしの体はぴくっと反応する。 数回目の刺激を与えたあと、ダンくんはキスしてきた。 「ミヤミヤ、だいすき」 「…ダンくんだいすき」 ダンくんのが、あたしの中へと入ってきた。 「やぁああああぁああ」 今までに味わったことのない感覚。 あたしはその感覚に対して、叫ぶことしかできなかった。 「ああああぁあ」 ダンくん、ダンくん、ダンくん、ダンくん、ダンくん、ダンくん、ダンくん、ダンくん ダンくんを求めたあたしの手は、ダンくんに引っかき傷を作った。 しだいにあたしのそこは不思議な感覚になってきた。 あったかい。 満たされてる。 そう、感じるようになってきた。 ダンくんは最初にあたしの中に入ってきてから、動かずにあたしの頭を撫でてくれていた。 ダンくんの目が、あたしに大丈夫?と話しかけてきているようだった。 あたしが黙ってうなずくと、ダンくんは腰を使うようになった。 「あっ・・・あっ・・・んっ・・・あっ・・・」 浅いところで、ゆっくりと、リズムよく。 さっきより少しは冷静になったあたしは、どうしてか思うようになった。 怖い。 ダンくんは優しくて、無茶は一切しなくて、だけど、怖い。 それが身動きのとれないこの体勢のせいだと気づいたときには、ダンくんは大分奥のほうまで突いてくるようになっていた。 あたしはダンくんにキスをすると、体を起き上がらせた。 あたしたちのそこはつながったまま、二人とも座った姿勢になった。 さっきよりも、奥のほうまでダンくんがいる。 友達に、聞いたことがある。 エッチするときに、必ずしも男が上である必要はなく、女が上になったっていいと。 あたしはダンくんを押し倒すと、ゆっくり、とてもゆっくり、腰を動かし始めた。 「あっ・・・あん・・・あん・・・はぁ・・・」 あたしの拙い動きを、ダンくんはどう思っているんだろう。 何度もダンくんのが抜けてしまう。 それでもあたしは、無我夢中だった。 ダンくんはしばらくそんなあたしを見たあと、腰をつかんで下から突き上げてきた。 あたしの中に深くダンくんが入ってきたときに、下からくる衝撃で、あたしは体に力が入らなくなった。 何度目かの衝撃を受けた後、とうとうあたしは自分で座っていられなくなった。 ダンくんの胸に倒れこむと、ダンくんがぎゅっと抱きしめてくれた。 「ん・・・ダンくん」 ダンくんの頭を抱え、キスをする。 ダンくんの髪の毛はしっとりしていた。触れ合う胸や、お腹からも、ダンくんが汗をかいているのがわかった。 唇を離すと、ダンくんはあたしをそっとベッドに寝かせた。 「ねぇミヤミヤ、もうちょっと、がんばれる?」 あたしの髪を撫でながら、ダンくんは言った。 「・・・うん、がんばれる」 「ダンくんと一緒なら、がんばれる」 唇を塞がれる。 舌が絡みつく。 意識が、もたない。 ダンくんがまた入ってくる。 最初に比べると、容易にあたしはダンくんを受け入れた。 「あっあっあっあっやぁっあっ」 さっきまでのゆっくりしたリズムの倍くらいの速さで、ダンくんは腰を打ちつける。 感覚が、なくなっていく。 ダンくんが倒れこんできたのを見届けて、あたしは意識を失くした。 どれくらい眠っていたんだろう。 横ではダンくんが眠っていて、ダンくんとあたしにはちゃんとタオルケットがかけられていた。 眠ってしまう前のことを思い出す。 しちゃったんだ、最後まで。あたしたち、大人になっちゃったんだ。 寝てるダンくんを抱きしめる。肌と肌が触れ合う。 「・・・だいすき」 あたしはそう言うと、ダンくんにキスをした。 おしまい。
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「すみません、事情も知らず……」 私の膝枕の上で気を失ったまま動かない清村さんを見ながら、 タマさんが小さくなりながら頭を下げる。 タダでさえ身長が低いので、まるで小学生のようだ。 「いえ、タマさ……川添さんが謝ることはありません」 「そうですよ、実際あの後目を覚ましたやつらを追っ払ったのはあなたですし」 目を覚ました不良の人たちは最初こそすごんでいたが、 安藤さんの携帯を見せ付けられてすぐに沈黙し、 土下座してから半泣きになりながら公園を後にしていった。 それでもどサドとその連れの人は最後まで暴れようとしていたけど、 私の傍で佇むタマさんに気づくと無言で帰っていった。 「ま、何よりその男はしばかれて当然のことをしたんですし。 天罰ですよ、天罰。ね、小川さん?」 芝生に腰を下ろした私は、清村さんの頭を撫でながら首を横に振った。 「……別に、私はもう怒っていません」 安藤さんは呆れ顔になってため息を吐く。 「やれやれ、お優しいことで。そんなんじゃつけあがらせるだけですよ?」 「大丈夫ですよ……清村さんはそんな人じゃないですから」 安藤さんはあきらめたような笑顔を浮かべる。 「ま、あなたがそう言うならあたしにこれ以上どうこう言う権利はありませんけど」 私が清村さんに視線を落とすと、清村さんの傷口を冷やしていた保冷剤がぽとりと落ちる。 持ち上げようとすると、それの内部はすでにほとんどが水になっていた。 「あ、あたしが新しいものを買ってきます」 「川添さんはそんなことしなくてもいいですよ。あたしが買ってきますから」 「でも……」 「あなたが罪悪感を感じる必要はありませんって。それに、なにより あの悪党どもが動けなくなった清村さんへ意趣返しに来た時、 小川さんと清村さんを守れるのはあなただけですし」 「はあ……」 そんなわけで安藤さんがいなくなり、動かない清村さんと私とタマさんが公園に残される。 だけどまさか、タマさんとこんな風に再会するなんて思いもしなかった。 そしてなにより、彼女が自分の名前を憶えているなんて想像もしていなかった。 「小川さんは強いですね」 だから自分よりはるかに強くて憧れている彼女が、 自分に向かってそんな言葉を言うことなんてありえないと思った。 「え、………………わ、私が、ですか!」 「ええ」 彼女は何を言っているんだろう、と思った。 だって、彼女は自分より大きな清村さんを吹き飛ばすほどの剣道の腕前で、 男の不良の人を一睨みで追い返すほど強いというのに、 そんな彼女がとろくて今だ素振りしかさせてもらえない自分を「強い」と評したのだ。 何かの冗談としか思えない。 「で、でも、私は川添さんみたいに剣道が強くないし」 「……剣道じゃなく、生き方が強いんです」 「生き方、ですか?」 タマさんはこくんと頷く。 「ひどい目に合わされたんですよね、その人に」 「……ええ、でも、その」 非は私にもあった。だけど、それは、おいそれ外で人に話せるようなことではないので私は口ごもる。 沈黙を肯定と取ったのか、タマさんは続けた。 「でも、その人を許した。だから強いんですよ、小川さんは」 「そう、なんでしょうか」 自分が剣道を続ける決心をさせてくれたタマさんが私を褒めてくれているのが、まだ信じられない。 「昔、剣道を始める時お父さんに言われたんです。『剣道は剣技が上手くなるためにするんじゃない。 剣の道を究めるための努力や鍛錬を通して、生きるために必要な心の強さを手に入れるものだ』って」 「生きるために必要な心の強さを手に入れるもの……」 「だから、剣道が強いだけでバイトひとつまともにできないあたしなんかより、 小川さんの方がよっぽど強いと思うんです」 「あたしが、強い……」 そんな風に考えたことなんてなかったので、私は混乱して黙り込んでしまう。 「確かにそうですねぇ。あたしが小川さんと同じ目に合わされたら、 まず相手の男を血祭りに上げますから」 大量の保冷剤が入ったビニール袋を手にぶら下げ帰ってきた安藤さんが、 突然清村さんの頭に木刀を打ち込む。 「いてっ」 「いつまで狸寝入りしてるんですか?」 「だからって叩くな!しょうがねえだろ、芽衣とは色々あったから少し気まずいんだよ」 「ほんとは小川さんの太股の感触でも楽しんでたんじゃないんですか? それよりほら、小川さんに言うことあるでしょ?」 「……ほんとに悪かったな、芽衣。いたぁーー」 「何で膝枕の体勢のまま謝ってるんですか?ほら、早く地べたに頭を擦り付ける」 「うう……わかったよ」 私の体から離れ、地に膝を着けようとする清村さんの手を握って私は制止させる。 「……土下座なんかされても、許せません」 タマさんが息を呑む。 清村さんの顔から血の気が引く。 安藤さんはにやりと笑った。 「そうだよなあ、いまさら土下座したって……」 よろめく彼の耳元に顔を近づける。 「だから、今日は……私の言うこと、聞いてください」 呆けて私の顔を見つめ返す清村さんの後ろで、 安藤さんがタマさんの腕を掴んで引っ張った。 「やれやれ、じゃ、あたし達はこれで」 「え、あの、あたしはまだあの人に謝って……」 いきなり拉致されそうになったタマさんはじたばたと抵抗するが、 安藤さんは困った顔をしてタマさんをそのまま引きずる。 「確かにあなたがうまいのは剣道だけみたいですね。 もうちょっと空気を読むことを覚えないと」 その一言にショックを受け動かなくなったタマさんを安藤さんが引きずる。 「しかし確かに強いですね、小川さんは。ま、したたかといったほうが適切かもしれませんが」 こうして、公園には私と清村さんだけが残された。 「言うこと聞けって、その、どういう……」 二人きりになってたっぷり2、3分は経ってから清村さんが恐る恐る尋ねる。 私は顔中が真っ赤になるのを感じながら、しかし今度こそは明確に自分の意思を告げる。 「私……今すぐ、清村さんの家に行きたいんです。いいですよね?」 次話へ進む
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明け方近くに帰って来ると言っていたはずのお父さんからかかってきた電話で、あたしは目を覚ました。 半分眠ったままの頭で聞いていた話によると、なんだかどこかの誰だかに不幸があったらしい。なにしろ半分眠ったままだったのでよく憶えてない。 はっきり憶えてるのは、予想外に帰りが遅くなりそうだっていうことだけ。下手したら今日明日では帰れないかもしれないって。 やっぱり寝ぼけたままだったあたしは、ユージくんが泊まりに来てくれるから大丈夫、とだけ答えて電話を切っていた。 受話器の向こうからはお父さんの声が聞こえていたかもしれないけど、よくわからない。なんと言ってもあたしは寝ぼけていたのだ。別に威張ることじゃないかもしれないけど。 寝直して起きた後でユージくんにそのことを話すと、あっさりとOKしてくれた。一人で留守番することもそうだけど、まだあたしの体調を心配してくれているらしい。 ・・・気まずい。 そんな気まずさを抱えたまま登校して、気がつけばもう授業も終わっていた。 今日は部活がない。ないんだけど、あたしは道場へと向かっていた。昨日干しておいた洗濯物を取り込んでおかないといけない。 ・・・本当は昨日のうちにやっておくべきことだったんだけど、昨日はその、あんなことがあったもので、動転して忘れていたのだ。 道場へと辿り着き、洗濯機のある方へと向かおうとしたところで・・・ なにか、聞こえた。 ・・・なんだろう。道場の外からじゃない、中からだった。 道場の中を見渡す。けれど、別になにもない。 ・・・また聞こえた。なんだろうか。声みたいだったけど。 えっと、今のは・・・ 「・・・ジ、くん・・・」 あ、また。今度はさっきより大分はっきりと聞こえた。出所もわかった。男子更衣室の方だ。 あたしはそろりそろりとそちらへ近づき、扉に耳を当てた。泥棒だろうか? それとも、昨日みたいに・・・いやいや、あんなことが二日連続であるはずがない。 「あ、ん・・・ユージ、くん・・・っ!」 ・・・ユージくん? あたしは眉をひそめた。わからないことは三つ。 まず一つ、聞こえたのが女子の声だったということ。ここは男子更衣室のはずなのに。 次の一つ、なんでそこでユージくんの名前が出てくるんだろうということ。ユージくんならあたしを待って自転車置き場にいるはずなのに(帰る家が同じなんだから仕方がない)。 そして最後の一つ、聞こえてきた声が、耳に憶えのあるものだったということ。これは・・・ 疑問を解明したいという欲求に勝てず、あたしは扉を開いた。 「東さん? ユージくんがどうし・・・」 そして、そのまま動きを止めた。 「・・・っっ!!!???」 同時に、中にいた彼女も動きを止めたらしかった。 そのまましばし、なんだかよくわからない空気をまとった沈黙が訪れる。 ・・・あたしが動きを止めた理由は簡単だった。単純に、室内の状況がちっとも理解できなかったからだ。 更衣室の中にいたのは、予想した通りに東さんだった。うん、それは別にいい。 ただ、そもそもどうして男子更衣室にいるのか、それがわからない。 もう一つ、どうして下着を膝の辺りまで下ろしているのか、それもわからない。 更にもう一つ、ユージくんのロッカーの前で籠手(たぶんユージくんのなんだろう)をスカートの中に潜り込ませているのはどうしてなのか、それもわからない。 とどめにもう一つ、顔を真っ赤にして目も潤ませて、しかも息まで荒らげているのはどうしてなのか、それもわからなかった。あ、これは一つじゃないかな。 わからないことだらけだった。当然、東さんがあたしの方を見たまま石化している理由もわからない。 「・・・東さん? どうしたの?」 それになにしてるの? と聞こうとしたところで。 見る見るうちに、東さんの顔色が赤から蒼白へと変わった。持っていた籠手を取り落として、かたかたと小刻みに首を振動させる。 「タ、タ、タ、タ、タマちゃ、いえ、これは、あの、その、ちが、違うんです、わた、私はその、別に、いやらしいことをしていたわけでは、その、なくってですね!」 言っているうちに、東さんの目にじわりと涙が浮かんできた。 「あ、あの、ですから、これは、その、アレなんです! 陰謀なんです! きっとそうです! そうに決まってます!」 必死に弁明? をしながら、けれど東さんはその場にぺたんと座り込んでしまった。 ・・・しくしくと泣き声を上げる。 「あ、ああ・・・よりによって、タマちゃんに見られるなんて・・・もう、ここまで来るとドジとかそういうレベルじゃない・・・」 「・・・東さん、さっきからなんの話してるの?」 よくわからないまま動転した挙句に落ち込まれ、あたしは疑問を口に出していた。せめてちゃんと説明して欲しい。 東さんは俯いたまま、やっぱり鳴き声で答えてきた。 「なんのって・・・その、見たまんまというか。抑えきれない衝動に身を任せてしまった結果と言うか、そんな感じのアレです」 ごめん、さっぱりわからない。 とりあえず東さんの方に近づいて、あたしは開かれたロッカーを見た。うん、やっぱりユージくんのだ。 「それ、ユージくんの籠手だよね? なにしてたの?」 東さんが床に落とした籠手を見ながら聞いてみる。あれ、なんか親指のところが濡れてるような? と、東さんが顔を上げた。 「・・・あの、タマちゃん」 「なに?」 「もしかして・・・本気で聞いてます?」 「?」 その質問の意味はよくわからなかったけど、ともかく東さんは泣き止んでいた。ていうかどうして泣いてたんだろう。 「あ、いや、でも、タマちゃんならあるいは・・・」 「???」 あたしは眉をひそめた。なんだろう、あたしがどうしたんだろう。そしていつになったらこの状況の説明をしてくれるんだろう。 こほん、と咳払いをしてから、東さんは立ち上がった。 「あ、あの、タマちゃん。厚かましいお願いなんですけど・・・ここで見たこと、全部胸の中にしまっておいてもらえますか?」 「・・・? どうして?」 「どうしてもですっ! お願いします! ちゃんと説明しますから! 一から十まで! だからお願いしますっ!!!!」 さっきまでとは打って変わった気迫で言い寄られ、あたしは思わずこくこくと頷いていた。よくわからないけど、口外しない方がいいならしない。 ふう、と東さんがため息をつく。 「ありがとうございますタマちゃん。じゃ、じゃあその、説明しますけど・・・」 と、再び顔を赤くしつつ、東さんがあたしの肩からを手を離す。 あ、その前に東さん。 「・・・下着、上げないの?」 指摘すると、彼女はもの凄い勢いで下着を本来の位置に戻した。 ・・・別に、それほど長い説明だったっていうわけじゃない。十分くらいだろうか。 「・・・とまあ、その、そういうわけ、なんです。タマちゃん、わかってもらえました?」 あたしは答えられなかった。たぶん、目の前の東さんと同じくらい顔が真っ赤になってると思う。 こんな場所で、しかもユージくんの防具を使って、東さんがそんなことに耽っていたっていうのも充分に驚くべき事実なんだけど・・・それ以上に。 あたしの脳裏には、昨夜の出来事が蘇っていた。 つ、つまり・・・あれも、そういう行為だったのだ。だから、その、なんて言うか・・・せ、性欲をどうにかするための。 あたしが返事をしないのを見て不安になったのか、東さんが再び詰め寄ってくる。 「あ、あの、タマちゃん。ホントに、みんなには内緒にしててくださいねっ!? お願いしますねっ!?」 「う・・・うん」 するわけがない。今正に同じ羞恥を味わっている身として、彼女の考えは痛いほど理解できた。 東さんは更にもう一度だけ「お願いしますねっ!!」と念押ししてから、更衣室を出て行った。なんだか歩き方がおかしかったけれど、それは別にいいとして。 ・・・あたしは、と言えば。 その場を動けなかった。 ・・・なんてことだ。昨夜の、あれが。そんな行為だったなんて。 ユ、ユージくんの・・・その、それを使って、あたしはそんなことをしていたのだ。恥ずかしくて死にそうだった。 さっきの東さんの動揺が、今は嫌というほど共感できた。うん、もう恥ずかしいとかそういう問題ですらないのかもしれない。 頭がぼーっとしていた。考えたくないし、考えるべきじゃないってわかっているはずなのに、昨夜の記憶が鮮明にフラッシュバックしてくる。 ・・・どうしよう。ユージくんの顔をまともに見られるんだろうか。ていうか、ユージくん今日もうちに泊まるのに。 それでもどうにか、更衣室を出ようと踵を返したところで・・・ 床に落ちたままの、ユージくんの籠手が目に入った。 ・・・あたし、とんでもないこと考えてる。
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私は室江高校一年九組に所属する女子生徒である。名前? 残念ながら名乗るほどのものじゃない。 入学してもう結構経つけれど、これといって友達らしい友達はいない。が、別に気にしてなかった。私にはあまり人様に言えるものではないけど趣味があって、それに没頭できてさえいればいいのだ。 まあ同じ趣味を持つ友人でもいたらそりゃ嬉しいところだけど、生憎とこの年齢でこういった趣味にハマっているということを大っぴらに話す女子というのは少ないだろうし、事実私自身、クラスメートに打ち明けたりはしていない。 ……私の趣味。それはアニメや漫画、特撮といった、一般的に「オタク文化」と呼ばれるものだ。サブカルチャー? そんな専門用語は知っている時点で既にアウトである。 あまり人とは話したがらない性格もあって、私には趣味を共有できる友人というのがいなかった。別にそれに不満を持っていたわけでもないんだけど。 最近になって、実はこのクラスにはもう一人、私と趣味を同じくするかもしれない女子生徒がいることに気付いた。 その名も、川添珠姫。 見た目は中学生か、あるいは小学生かと見間違えるほど小柄で童顔な少女。口数は私に負けず劣らず少なく、故に目立たない。 表情を変えることもあまりなく、他のクラスメートからはなにを考えてるのかよくわからないと思われているみたいだけど、あれはきっと単純に人との接し方を知らないだけだ。類友としてよくわかる。 ある時、私は彼女の鞄に付けられたいかにもそれっぽいアクセサリー(アニメかなにかのキャラクターを模した人形だった)を見て、つい話しかけてしまった。それ、なんのキャラクター? 「え? いえ、これは……」 急に声をかけられて(そりゃそうだ)彼女は戸惑ったようだったけれど、 「なんかのアニメかな。それとも特撮?」 重ねて聞いた私に、彼女の目の色が少しだけ変わったように思えた。 「あの、これはその、10年くらい前にやってた、ブレードブレイバーっていう作品の……」 ビンゴだ。最初は恐る恐るといった感じだったけれど、その『ブレードブレイバー』なる特撮について私に語るうち、彼女の口調にはどんどん熱が篭っていった。 ちなみにそのブレードブレイバー、私もタイトルだけなら聞いたことがあった。確か私達が幼稚園くらいの頃にやっていたバトルヒーローシリーズだ。私は三年前の『ホストマンZ』からハマり出したクチなので古い作品は知らないが、かなりのヒットを飛ばしたらしい。 「で、これは、その中のレッドブレイバーに似せて、人に作ってもらったあたしの人形です」 ほう。どうやら彼女には彼女の趣味を理解してくれる友人というのがちゃんといるらしい。羨ましい話だ。私なんぞは中学の頃にどっぷりとこの道にハマってからというもの、人に理解されたためしがないというのに。 「……えっ? どうしてですか?」 聞き返されてしまった。 ……この子、見た目もそうだけど、中身も相当に幼いんだろうか。このテの趣味は、ごく一般的な感性を持つ人間からすればイタいものとして扱われ、もうちょっと行き過ぎれば「ヲタ」のレッテルを貼られるのが常だというのに。 そういう常識を教えてくれる人はいなかったんだろうか。それとも、周囲がみんなそういった趣味を共有できる人ばかりだったんだろうか。……それも羨ましい話だ。ヲタでない普通の友人はいないの? 「え? い、いますけど……幼稚園の頃からずっと一緒の」 ほほう。それはいわゆる幼馴染みというヤツだろうか。一般人でありながらヲタと長年友人をやっていられるなんて、なんと出来た人だろう。是非私にも紹介してもらいたい。まあその人自身にそういう趣味がないならあまり意味はないかもしれないが。 ともあれ、それをきっかけに私とその少女、川添珠姫は少しずつ話をするようになった。 言うまでもなく、話題は専らアニメとか漫画とかコスモサーティーン(絶賛放送中)である。 そんな付き合いをしているうちに、私はこの少女がどんなキャラクターなのか、少しずつ理解していった。 一言で言えば、世間知らずだ。 取り分け男女の仲に介在する機微というものに疎く、なにか物凄く根本的な部分で性差というものを理解していない。同年代の男子が日頃どんなことを考えているものか、ちっとも把握していないのだ。 もっと言えば、男子というものを誤解している。思春期の少年が当然持っているであろう煩悩とかをまるっきりないものとして認識している節さえあった。 ……恐らく、両親から蝶よ花よと大切に大切に育てられたのだろう。まあこの小っこい背丈と全然発達してない身体つきを見れば、ご両親の気持ちもわからないでもないけれど。 趣味を同じくするものが増えたことで少しだけ心が広くなっていた私は、そんなふうに考えていたのだ。 ……のだけれど。 ある日の放課後、私は教室の入り口から知らない男子に声をかけられた。別のクラスの人だろうか。 「ちょっといいかな? タマちゃんいる?」 …………はい? 思わず口を半開きにして、私はその男子の姿を見返してしまった。 ぱっと見た限り、ヲタっぽさとは限りなく無縁な、爽やか好青年といった感じの外見だった。 華やかさという点ではそれほどでもないが(要するに地味ということだ)、しかし同年代の少年達にありがちな浮ついた雰囲気はカケラもなく、なんというか「近所のお兄さん」という表現がしっくり来る。 いや、それはいい。問題なのは、目の前のこの男子が口にした「タマちゃん」という科白だ。 それが川添珠姫を指す呼び名であることを、この時の私は知っていた。知っていたので、驚いたのだ。 ……だって、親しすぎる呼び方だ。一体この男子、ナニモノ? などと私が返答に困っていると、 「あ、ユージくん……どうしたの?」 こちらとは反対方向から、他でもない「タマちゃん」……つまり川添珠姫が姿を見せた。 ……ちょっと、待って。この子、今なんて言った? 「あ、タマちゃん。ちょうど良かった。今日の部活中止だって」 「……中止? どうして?」 「ミヤミヤの話によると、キリノ先輩とサヤ先輩が先生の後を尾けてたらしいけど」 「……それでどうして部活が中止になるの?」 「さあ? 俺もよくわかんないな」 二人のやり取りを、私はただひたすら呆然と眺めていた。 ……川添さん、普段と表情が全然違う。授業中とかと比べると、格段に豊かだ。それはつまり、この男子生徒……“ユージくん”とやらに、心を開いている、っていうことなんだろうか。 ていうか、「ユージくん」て。そして「タマちゃん」て。 下の名前で呼び合うなんて、余程親しくないとあり得ない行為だろう。それが男女となれば尚更だ。 彼女はそのまましばらく“ユージくん”と話していたが、やがて切り上げて教室へと戻ろうとした。「じゃあ、下駄箱で待ってるね」と“ユージくん”が言い残していったのが私としてはやたらと気になったのだが、それよりも。 「……川添さん。今の男子、誰?」 呼び止めると、彼女はこちらへと振り返り、あっさりと答えてきた。 「あ……今の人が、ユージくん」 いや、それは聞かなくてもわかる。私が聞いてるのはその“ユージくん”と一体どういう関係なのか、ということなんだけど。 「幼馴染みだけど……?」 稲妻が走った。というか落ちた。 ……なんてことだ。 じゃあさっきの男子が、彼女が常々口にしていた「幼稚園の頃からの幼馴染み」? 私はてっきり、女子だと思っていた。そう勝手に思い込んでいた。それなのにまさか……男子だったとは。 話を聞くと、なんでも家が近所のため昔からの付き合いで、彼女の趣味にも小さい頃から変わらず理解を示しているのだという。 それだけでも私にとっては脳天を鉄槌で一撃されたような事実だというのに、更に彼は見た目通りの爽やか系でおまけに頭も良くてしかも剣道の腕まで立つらしい。 ……そんな馬鹿な。そんな完璧な人間がフィクションでなく実在するなんて。その上それが幼馴染みだなんて。 その目に明らかな信頼の色(だけじゃないような気もしたが)を浮かべて先程の男子のことを説明してくる彼女の姿を見ながら、私は悟っていた。 ……私とは、生まれ持ったモノが違うんだな、と。 同じ趣味を持つもの同士、なんとなく通じるものがあると思っていたけれど、それは私の思い違いだったようだ。 なんとなく、虚しくなってしまった。